毎年恒例の雪山登山訓練。今年は少し趣向を変えて、通常の訓練を実施するA隊と、雪山初心者のためのB隊に分けて実施をしました。
日時
令和7年1月25日(土)~26日(日)
場所
富士山5合目佐藤小屋周辺
参加者
17名(佐藤小屋宿泊15名、日帰り2名)
※相模原市山岳協会会員
1月26日

8時に馬返しに集合し、総勢16名の大所帯で佐藤小屋を目指す。佐藤小屋までの行程も訓練の一環。とはいえロープやスノーバーなどの重い装備は雪上車で小屋まで運んでいただくことに。今年から輸送料がかかることを後から知り、来年は訓練の名のもと担ぎ上げることも視野に入れたい。(視野に入れた結果輸送をお願いする可能性もありますが…)

途中から小雪が降り始めるも順調に高度を上げ、11時30分頃には全員が佐藤小屋に到着。小屋の方々と装備、そして協会員1名を乗せた雪上車もほぼ同時刻に到着。簡単な昼食後、全員でゲレンデ適地を探してスバルライン方面へ移動。20~30分程移動した程良い斜面で訓練実施を決め、滑落防止のネットを張るなどのゲレンデ整備を実施。

この日はA隊、B隊ともに同じ訓練を実施。まずはアイゼンを付けずに雪上歩行の練習。その後アイゼンを装着し、雪面をジグザグに登ったり、直登したりと雪上歩行の基礎を学びました。B隊の一部は12本爪のアイゼンではなく、6本爪やチェーンスパイクでの参戦。その差は歴然で、12本爪のアイゼンの購入を決意する者も続出?


続いてA隊はピッケルを使っての滑落停止。最初はみなさん控えめでしたが、徐々に調子を上げなかなかのスピードで滑落をする方もいらっしゃいました。
胸の前でピッケルに体重を掛けてピックを刺す。止まらずに手が伸びてしまうと力が伝わらなくなるので、その場合は一度ピックを外して再度チャレンジ。滑落中にアイゼンを引っかけると飛ばされる可能性があるから要注意など、講師から滑落停止のポイントを学びました。

雪山初心者を中心としたB隊は、ピッケルを持っていない方もいるためストックを使っての滑落停止。この日の雪はストックでも多少止まりましたが、表面が凍っている場合はストックで止めることはほぼ不可能…。スピードが出ればピッケルでも止めることは難しいので、やはり雪山では「転倒しない」ことが何より重要です。

16時頃まで訓練をした後佐藤小屋に移動をして机上講習。眠くならないようにとの配慮か、講義は講師から受講者への質問形式で進みました。例えば「雪山でテントを張る際の注意点は?」という質問に対し、受講者が「雪崩に巻き込まれない場所に張る」、「風下を入口にする」、「張る前にアイゼンを外す」などの回答をして、それに対して講師がコメントをしてくれます。「冬眠中の熊に気を付ける」、「北枕に気を付ける」など、大喜利を狙う受講者もいましたが、講師が難なく捌き1時間程度で講義は終了。
その後佐藤小屋での豪華な夕食と宴会を楽しみ、1日目は終了となりました。
1月27日


2日目はA隊とB隊に分かれて行動。A隊はロープを使った滑落停止ということで、まずはスタカットの訓練。ポイントはいくつもありますが、動き事態は至ってシンプルですので、繰り返し練習するうちにコツを掴んでいただきました。ただ、滑落停止よりも滑落そのものが初日に比べ格段に上達した参加者がいたことが気になります…。


続いてA隊はコンテの訓練。いくつか手法がある中で「大阪方式」を練習しました。ただ、こちらはそれなりに複雑な仕組みで、本番で使うにはかなりの訓練と勇気がいることは間違いありません。

B隊はテント設営や雪山での生活を中心に技術を学びました。風よけブロックの作り方や水の作り方など、無雪期とは違った技術が必要となります。せっかく作った水、捨ててしまうのももったいないので、皆さんでお茶を楽しんでいただいたようです。

12時は訓練を終えて下山を開始し、今年度の雪山訓練は終了となりました。