
2025年8月末、会を跨いだ親睦等を目的に相模原市山岳協会の合同登山として尾白川鞍掛沢に行ってきました。
2年前の70周年合同登山(北海道大雪山系)の際には30人近くの会員が集まりましたが、今回はなんと参加者3人というもはや個人山行の雰囲気。
当初は大人数になることを想定して広い幕営場所がある「大雲取沢」を予定していましたが、今年は例年に比べ雲取山周辺での熊の目撃情報が多く、また、広い幕営場所が不要になったことから明るく初心者向けの尾白川「鞍掛沢」に行先を変更しました。
1日目(8/30)
8:00 矢立石登山口
8:50 錦滝
9:30 林道終了点
11:30 鞍掛沢出合
13:00 幕営地(乗越沢出合)
5:30に相模線番田駅というめったに待ち合わせ場所に選ばれない駅に集合して出発。本日の核心は「矢立石に車が止められるか否か」と考えていたが、7:30に到着した時点で予想通り満車…。一瞬「敗退」が頭をよぎったが、100mほど下に駐車スペースを発見し事なきを得る。準備を整え、8:00くらいに出発。


尾白川林道を進み、崩壊地を超えると錦滝に到着し一息入れる。その先トンネルを3つ超えて少し進んだところで林道が終点となる。尾白川への下降点はフィックスロープがあるので分かりやすいが、なかなか頼りないロープのため慎重に下る。

下降が終了すると見事なエメラルドグリーンの釜を持つ尾白川が待っている。猛暑の林道に比べ幾分涼しくテンションも上がる。沢装備を装着し早速遡行を開始。最初の大きな釜を持つ滝を超えると夫婦滝に到着。傾斜も緩く一見簡単に登れそうだが、かなり滑りそうな雰囲気とそれなりの高さがあり落ちればそれなりに怪我をしそうな感じ。先行パーティがロープを出して取りついており、しばしその様子を見守る。

トップの人はそれなりに滑っていて苦戦している様子であったが、セカンドで登っていた方が街中の坂道を登るかのような感じでスタスタと登っていく。その様子を見て我々も登攀を決意。と言ってもリードをするのはレジェンドのMさんですが…。

固定ピン等は無いため、左側の一段あがったところの木に長めのスリングで支点を取りながら登る。Mさん、上部で多少滑っていたものの難なくクリアし確保に入る。続いてやや経験の浅いKさんの登攀。慎重に高度を上げ、上部の最も滑る場所の手前で一旦ストップ。
慎重に足の置き場を探っていると思いきや…まさかのジャンプ!
これには普段冷静なレジェンドMさんも驚きの表情を隠せず。Kさんは着地で滑っていたものの、プルージックで確保していたため事なきを得る。最後に自分がスリングを回収しながら登るも、上部はそれなりに滑る。先行パーティのセカンドの方が余裕で登っていたのは、恐らくラバーソールであったのだと思われる。(ちなみに我々パーティは全員フェルト)
その後鞍掛沢に入り順調に遡行。ほとんどの滝は快適に登れるが、ハング滝は全く登れる気がしないので右から巻く。巻き道は明瞭で迷う心配なし。


ハング滝を超えるとやや単調な渓相が続くが、所々にきれいなナメがあったりして飽きることなく遡行を続ける。何といってもこの沢の良いところはとにかく「明るい!」。青い空と、太陽に照らされきらめく水と花崗岩に癒されます。

順調に遡行を続け、予定よりも1時間早い13:00には幕営予定地の乗越沢の出会いに到着。沢の左側が一段高くなっており、しかも傾斜もなくもはや有料のテン場と言っても過言ではない。一応管理人を探したが、当然いる訳もなくありがたくテントを張らせていただく。
ほぼテン場のため、もしかしたら薪が売っているかもと思ったが、そんな訳もなく3人で薪集めに精を出し、相当量集めたところで早速焚火を開始。夕飯にはちょっと早いためとりあえず乾杯をして至福の時間を過ごす。



2日目(8/31)
6:00 幕営地出発(乗越沢へ)
8:30 駒岩
9:30 錦滝分岐
10:20 日向山山頂
11:20 矢立石登山口

5時前に起床し簡単に朝食を済ませ早々に撤収準備。焚火の後始末も忘れずに済ませ名残惜しい幕営地を後にする。本日は幕営地正面の乗越沢を詰め上がる。いきなり滝の登攀から始まる乗越沢。中断までは右側を登り、その後左に逃げる。巻き道は明瞭。


乗越沢に入ると渓相が変わり、比較的ぬめりの強い滝が増える。登れる滝は登り、登れない滝は巻いていく。いずれの滝も巻き道は明瞭。ぐんぐんと高度を上げ、徐々に水量が減っていき源頭の雰囲気へ。

詰めは左側に向かって明瞭な踏み跡が。これを確実に辿って行けばよかったのだろうが、注意力が不足していたかいつの間にやら熊笹の藪漕ぎを強いられる…。右へ右へと進んでいくと再度踏み跡を発見。これを確実に辿って行くと鞍掛山と駒岩の鞍部に到着。


ここで沢装備を解除。鞍掛山は展望も無いとのことで、駒岩方面へ進む。

日向山への分岐からひたすら下りが続く。この下りがなかなか長く、重い装備を担いでいたこともあり体力が削られる。1時間半ほど歩いたところで突然砂のビーチが現れる。この辺りから太陽が顔を出し、酷暑の中あえぎなら山頂へ向かう。

分岐から2時間弱で日向山山頂へ。

ここでKさんが近年稀にみる見事な「ヤッホー」を披露する。山頂にいた人々からは失笑が漏れる…。
その後矢立石まで順調に下り、午前中のうちに車に戻る。
急遽行先の変更となったが、天候にも恵まれとても良い山行となった。来年(実施すれば)はもう少し参加者が増えて、山岳会間の親交が深められるといいなと思う。